先天性欠如 |
2010年9月28日(火)14:58:40相談者:りーたん(女性)41歳 群馬県 |
13歳の長男が1年前に、歯並びが悪く受診したところ、下左右5の永久歯がないことがわかりました。受診時は左Eの歯茎が腫れていて、抜歯を勧められ、抜いてしまいました。その後、現在は床を拡げる矯正を上下つけています。担当の先生は、一般の矯正と同じような治療方針で進めていくようですが、先天性欠如で、すでに左5のスペースが空いたままなのに、大丈夫なのか心配になります。また、右5の先天性欠如の場所は、まだ乳歯がありますが、そのまま歯列矯正を始めてよいのでしょうか。 最後に、現在激しい部活(野球)をしています。今後、歯列矯正の器具をつけたまま、人やボールがぶつかって、健康な歯を痛めてしまう心配はないでしょうか。最善の方法がありましたら、教えてください。色々とお聞きしてしまい申し訳ありませんが、よろしくお願いします。
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回答
先天性欠如の治療方法と外傷と矯正装置の関連 |
2010年10月7日(木)20:43:14回答者:小笠原 潤治
(ウイズ矯正歯科) |
りーたんさん、先天欠如の治療方法と矯正装置と外傷の関係のご質問ありがとうございます。 さて、先天欠如の場合の治療方法ですが、一般的には欠損している部分のスペースを閉鎖してしまう場合と閉鎖しないでブリッジやインプラントを入れる場合と、2つ考えられます。
この違いは、不正咬合の原因と咬合状態(上顎前突か下顎前突か、咬み合わせが深いか浅いか?)、上の歯並びや下の奥歯の状態など様々な要素が関連してきます。 従って、歯列弓の拡大と今後の治療方針については、私ではなく担当医に直接お聞きになり、解らない部分はまた書き込みお願いします。 あまりにも範囲が大きすぎて、満足な答えができず残念です。
さて、野球など激しい運動と矯正装置の関係ですが、ボールや人などが口に当たった場合、大きく2つに分けて考える必要があります。
一つは、外からの外力は歯の外側についている装置に直接かかりますので、唇や頬粘膜の内側の損傷は大きくなります。しかし、口の中の粘膜は非常に再生速度が大きいので、多少損傷しても、あまり心配はありません。
二つ目は、外力による歯の損傷です。歯の外側につけるマルチブラケット装置は、1本1本の歯にブラケットというワイヤーを装着する溝の入った金具と隣の歯同士をつなげるような1本のワイヤーで構成されています。
この装置は隣同士の歯を連結します。とくに治療の中盤からは比較的太くて硬いワイヤーをこのブラケットに装着しますので、外からの外力はこのワイヤーを伝って、多くの歯に伝達されるため、1本1本の歯は折れずらくなります。
実際に私が大学病院に勤務していた頃、交通事故で口腔外科に運ばれて来た患者さんで、矯正装置(マルチブラケット)を装着されていた方を拝見した事があります。この方の場合は、歯の根は折れておらず、歯槽骨全体がゆがむように骨折していました。当然、交通事故の衝撃でマルチブラケット装置のワイヤーも曲がっていましたが、このワイヤーのおかげで歯の根が折れるのは避けられたようです。
このように、ボールなどが当たった場合には、矯正装置によって唇や頬粘膜の損傷は大きくなりますが、歯の根の損傷は抑えられる事になると思います。
以上、矯正装置と外傷について解る範囲ですがお答えしました。また、解らないことがあれば書き込みお待ちしております。 最後に、お母さんのご心配は良く解りますが、まず口にボールが当たる前に逃げてくださいネ(笑)。
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先天性欠如の治療 |
2010年10月8日(金)15:02:11返信者:りーたん
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とてもわかりやすく回答していただき、ありがとうございました。相談を投稿した後に、担当医に治療経過を詳しく聞いてみました。 息子は、舌が大きいのに、歯のアーチが狭いため、まず床矯正でアーチを拡げ、その後に歯列矯正で歯並びを整え、最後に左下5はブリッジを入れるとのことです。担当医は、先天性欠如の治療よりも歯並びを治すことの方が重要と考えているようです。矯正で左下5のスペースを埋めるには、上下左右のバランスを考えて、右下Eと上の歯2本を抜歯することになり、その方がマイナスだと言います。 私と息子は歯並びのことは気にしておらず、左下5のスペースの治療をして欲しいだけでした。私自身、中学生でブリッジを入れて苦労したので、息子には、将来のことまで考えた治療を受けさせたいと思っています。矯正か、ブリッジか、将来のことを考えて、どちらの方が良いとは一概には言えないのでしょうか? また、抜歯後1年半スペースが空いたままで、上や両隣の歯が伸びたり倒れたりしてしまわないか心配です。担当医は矯正をしている間は大丈夫というのですが、仮歯などを入れた方がよいでしょうか? 長くなってしまい、申し訳ありません。もう一度、よろしくお願いします。
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回答
Re:先天性欠如部分を閉鎖するかブリッジにするか? |
2010年10月15日(金)14:27:40回答者:小笠原 潤治
(ウイズ矯正歯科) |
りーたんさん、お返事ありがとうございます。 少し解ってきました。
まず、それぞれの患者さんに、ベストの選択肢と次善の策というのがあり、それぞれ一長一短があるのが普通としましょう。
今回のりーたんさんのお子さんの先天欠如の件では、このそれぞれの方法についてのメリットとデメリットがはっきりしてないことによって、治療に対する不信感も出てきているような気がします。
まず、「舌が大きいのに、歯のアーチが狭い」とありますが、私の常識では舌が大きければ、歯列弓も大きく拡大されており、上下の前歯も前方へ出ている場合が多いと思います。また、すでに先天欠如があるので、拡大することによってスペースがさらに広がるわけですから、りーたんさんのご心配もごもっともです。
ここで、要チェックなのは、前歯の出具合と歯並びの重なりが何ミリあるかです。 もし、前歯が出ている(上顎前突または両顎前突)の場合は、先天欠如のスペースを使って前歯を後退する必要があります。 また、歯並びが悪く、これを真っ直ぐに並べるためにも、先天欠如のスペースを使う必要があります。
この事を考えると、担当医の先生が「床矯正でアーチを拡げ、その後に歯列矯正で歯並びを整え、最後に左下5はブリッジを入れる」という意味が良くわからないですね! 歯並びを修正するために何ミリのスペースが必要で、前歯を後退するスペースに何ミリ必要だから、残ったスペースを閉鎖する方が良い選択なのか。または、歯並びも悪くなく、前歯も後退する必要がないから、上を歯を抜くのはムダと判断して、下の先天欠如部は閉鎖せずにブリッジにするのか?
これを違う方向からみると、先天欠如部をブリッジにするメリットとデメリット、先天欠如部を閉鎖するメリットとデメリットということになるでしょう。
この歯並びを並べるためのスペースと前歯を後退するためのスペースの量について、もう一度担当医に聞いてみてください。さらに、上下の第二大臼歯の生えて来るスペースについても、この時期から考えておく必要があるでしょう。
また、日本矯正歯科学会の認定医、専門医の名簿から、ご近所の専門医を持っている先生の話しもお聞きになっておいた方が良いでしょう。
http://www.jos.gr.jp/search/index.html
以上、少しは参考になったでしょうか? また、わからないとこがありましたら、書き込みお待ちしております。
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