てつろーさん、初めまして。6年間の矯正治療本当にお疲れ様でした。苦労したのに、100%の仕上がりでない事へのこだわりは、本当に良く解ります。
矯正治療は、元々患者さんが持っている「あご」と「歯」をどのように上手く咬み合わせるかと言う事が重要です。まず、奥歯がしっかりと咬んでいる事。上の前歯が下の前歯に被さる量がおおね正常である事。そして、となり同士の歯が隙間なく連続しており、咬む動作がひっかかりなくスムースに行なう事ができ、前後方向と左右方向へあごをズラした時に、ガイドがある事。などなどが仕上がりの必要要件です。
この時に患者さんによって、仕上げに優先すべき事項が当然あります。その中で、上下の正中を合わせる事はかなり優先度が低い事項です。 また、上下の歯やあごは動いて物を咬み砕く事が最も重要な事ですから、物を咬まないで閉口した時に少し上下の歯の中心が一致しないくらいは、大きな障害にはならない事はご理解いただけると思います。 また、御自分で少しあごをズラせば真っすぐになり、担当医も「あご自体のズレ」を指摘されているようですから、誰が治療しても多少の左右のズレは残ったのではないでしょうか?また、このような正中のズレは臨床上良く起こります。
矯正治療は、規格化された部品を間違いなく組み立てていくパズルやプラモデルとは違います。患者さんにより、すべて条件の異なるあごや歯をできる限り、機能的に咬む事のできる状態に移動していくものです。さらに、これを通常の生活をしていただきながら行なうワケですから、まさに走っているトラックのタイヤを走らせながら治すようなものです。
矯正治療の価値は、矯正治療を行なう前と治療後の歯の位置の移動量にあります。大きな全体の改善はさておき、小さな正中のズレのために全体の治療の価値が不満だけで終わるのは、矯正医としてとても寂しい気持ちでいっぱいです。
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