375さん、初めまして。お返事が遅くなって申し訳ありません。5月8日の木曜日は会議で東京へ出張しており、週末は北海道矯正歯科学会の準備と大会運営、自分でも発表と何役もだったので遅くなりました。 さて、永久歯への生え替わりのご質問ありがとうございます。 ご質問の主旨は 1.乳歯が抜けずに永久歯が生えて来た。 2.乳歯の歯並びは隙間もなくキレイ。 3.矯正医は「問題ないからこのままで・・・」 4.自然に乳歯が抜けるのを待つと、永久歯の歯並びが悪くなると思うが? 5.乳歯の歯並びがいいから永久歯の歯並びもいいとは限らないのですよね? という事ですね。 本当にいつも聞かれる質問です。
上記1.の乳歯が抜けずに永久歯が生えて来たのは、乳歯のせいではありません。正常な生え代わりの場合は、永久歯の歯胚(歯の芽)が交換する乳歯の真下から乳歯の根を溶かしながら徐々に外へ向かって移動してきます。下から生えてくる永久歯によって、乳歯の根が完全に溶けてなくなってしまうと、乳歯はポロッととれてしまします。しかし、永久歯の歯胚が生え替わる乳歯の真下にない場合は、乳歯の根がうまく溶けないため、乳歯が抜けないのに違う所から永久が生えて来てしまうワケです。 つまり、この時期に乳歯を抜いたから歯並びが良くなるワケではなく、さらに抜かなかったからと言って歯並びが悪くなるワケではありません。永久歯自体の歯胚の位置や方向がズレているために、歯並びが悪くなるのです。
これは、乳歯の歯並びが良く、隙間なく並んでいた事にヒントがあります。 ここで、乳歯と永久歯の大きさの比較をしてみましょう。上の犬歯から前歯4本と反対側の犬歯までの永久歯の大きさと、乳歯の犬歯から反対の犬歯までの大きさでは、永久歯の方が平均7mm大きな歯が生えてきます。下の同じ部位では5mm大きな歯が生えてきます。 このため、375さんのお嬢さんのような、生え替わりの時期には乳歯と乳歯の隙間が開いていない子は、新しく永久歯の生えて来る隙間が足りないために、歯並びが悪くなります。つまり、「乳歯の歯並びがいいから永久歯の歯並びもいいとは限らない」のではなく、「乳歯の歯並びがいい子は永久歯の歯並が悪くなる場合が多い」という事です。 この、永久歯の生える隙間がない状態は、歯胚としてハグキの中にある時からすでに始まっており、歯胚同士が押し合いへし合いして、何とか出てくる隙間を探して、正常な方向以外にズレて生えてくるワケです。
この、とんでもない所から生えて来た永久歯を正常な位置に修正するのは、我々矯正歯科の役割です。しかし、生えて来て直ぐの永久歯の中には、根が未完成のために移動するには早すぎる歯も少なくありません。このため、あまり早くに残っている乳歯を抜いてしまうと、しばらくそこの部分の歯がない状態になってしまいます。このため、乳歯の抜く時期にもタイミングがあります。 矯正の先生の「問題ないからこのままで・・・」と言う意味がわかっていただけたでしょうか? 下の歯がデコボコになると、上はもっとすごいデコボコになる可能性がありますので、将来的には矯正治療が必要になると思います。矯正の先生と仲良くしておくと、いろいろ教えてもらえますので、また相談に行ってみて下さい。
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