急速拡大装置装着時の処置 |
2020年9月14日(月)相談者:アキ 【大阪府】 女性 40歳 |
小学2年生の娘が出っ歯を治すため矯正を始め、上顎に急速拡大装置を装着しました。 六歳臼歯の一つ手前の歯に輪が一つかかっているタイプの装置です。 装着の際に「装着のため、歯の間に隙間を作りますね」と、歯を削られたようでした。 削った場所は不明です。
虫歯ではない歯(永久歯であれば特に)を削ることに驚いてしまったのですが、 急速拡大装置を装着する際に歯を削るのは普通のことなのでしょうか。 また、健康な歯を削って、しみる、虫歯になりやすくなるなど問題はないのでしょうか。 今後、急速拡大装置をとった後、歯の間に隙間が残ったままになるのでしょうか。
ご回答よろしくお願いいたします。
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Re:急速拡大装置装着時の処置 |
2020年9月23日(水)13:04:29回答者:小笠原 潤治
(ウイズ矯正歯科) 編集 |
アキさん、書き込みありがとうございます。書き込みによると、歯列弓を側方へ拡大する装置を装着する際に歯を削られたようですね。装置をつけたのは、六歳臼歯の一つ手前の歯に輪が一つかかっているタイプのようです。現在、6歳であればまだ永久歯の第二小臼歯は生えていないため、二本目の乳歯の奥歯(第二乳臼歯)と思います。
この乳歯は、乳歯の中では最も大きな歯で、咬む面に近い部分の大きさが大きく、ハグキに近い部分の歯頸部は少し細くなっている形態のものが多い歯です。このような根元の方が細くなっている歯に、リング状のバンドを入れようとすると、どうしても咬む面に近い部分の太くなっている部分に合わせてサイズを選択しなくてはなりません。しかし、このサイズを入れた場合、咬む面に近い部分はピッタリでも、歯頸部はかなりサイズが余った状態になり、その部分は歯垢や汚れのたまり場になってしまう事になります。
これを避けるために、咬む面に近い部分の張り出した部分をほんの0.5mmほど削除して、歯頸部が不潔な形態になりにくくするのを、担当医は「装着のため、歯の間に隙間を作りますね」と言ったのだと思います。この処置は、このような根元と先端部の大きさが異なる乳臼歯の場合はには標準的な処置で、特にエナメル質の厚くなった部分をほんの少し削るので、その後、虫歯になり易くなったり、シミたりする事はほとんどありません。
また、この第二乳臼歯の後に生えて来る永久歯は、乳歯より少し小さい第二小臼歯という歯が生えて来ますので、ほんのゼロ・数ミリ削ってもあとで永久歯に隙間は生じたるすることもほとんどありません。
お母さんとしては、虫歯でもなんでもない歯を削ってしまってから「装着のため歯の間に隙間を作ります」と言われても、何やっているんだ!!と思われるのは、ごもっともです。やはり、担当医が少し事前の説明が足りなかったようで申し分けありません。
今後は、アキさんも「どの歯を」「何のために」「どの程度」削ったのか、ぜひその場で担当医に説明を求めてください。待合室が混んで来たりすると、密を避けるために、我々矯正歯科医もついつい説明を簡単に終わらせてしまいがちです。私の場合は、装置を装着した後は必ずお母さんにもチェアーサイドに入っていただき、患者さんのお口の中の装置をお見せしながら、装置の目的と使用方法、注意事項などをご本人とお母さんに説明するようにしています。
矯正歯科治療は、我々矯正歯科医と患者さんの信頼関係が治療の成果にも大きく影響します。「え!?何??」と思ったら、その場で担当医に説明を求めて、納得して帰る事が、治療の大きな力になります。また何か解らない事があれば、書き込お待ちしております。
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Re:急速拡大装置装着時の処置 |
2020年9月29日(火)08:03:22返信者:アキ
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小笠原先生
お忙しい中、ご丁寧なご回答ありがとうございました。 大変わかりやすく、処置に納得することができました。
先生のご指摘通り、あの時は疑問を抱いたまま帰宅したため、今後の治療に不安を感じてしまいました。 今後は、疑問に思った時点で担当医に説明を求めようと思います。 本当にありがとうございました。
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