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相談掲示板

反対咬合の治療法について
2009年7月23日(木)10:14:32相談者:たくママ 【神奈川県】 女性 42歳
8歳の娘は反対咬合です。矯正を始めようと、日本矯正歯科学会の認定医以上の資格の矯正歯科を何件か探し、初期相談に行ってきました。
それで困ったのが、先生によって考え方が全く違うことです。
1、フェイシャルキャップをつけて上顎を出す治療法。T期治療を1、2年行い、あとは成長期まで経過観察。顎の成長は止めることはできない。チンキャップは骨や関節に影響があるので良くない。
2、同じくフェイシャルキャップでの治療ですが、フェイシャルキャップには下顎の成長を抑える効果もある。
3、チンキャップで、上顎を出しながら、下顎の成長を抑える治療法。上顎の治療は1、2年で、チンキャップは5年ぐらいは付け続ける。顎や関節への影響は無い。
私は何が正しいのかわからなくなってしまいました。
私としては、一番の成長期(10歳頃)に何もしないでいるよりは、チンキャップで成長を抑えられるなら、そちらが良いと思ったのですが、良くないとおっしゃる先生もいます。
チンキャップを付け続けることは、顎の骨や関節に良くないのでしょうか?フェイシャルキャップには下顎を抑える効果はあるのでしょうか?


Re:反対咬合治療とチンキャップ
2009年7月26日(日)00:27:51回答者:小笠原 潤治 ウイズ矯正歯科編集
 たくママさん、初めまして。とても意味深いご相談ありがとうございます。
 では、少し解説させていただきます。

 3人の先生とも、診断が骨格性の下顎前突症例で上顎の位置にも問題があるという事です。この部分は一致しています。
 そして、治療は8歳のこの時期から骨格性の要素に対して、治療を開始する必要があるほど症状が重いという事です。これも3人の先生で一致しています。
 3つめは上顎を前方移動する必要があると言う事。これも3人とも一致している所です。

 4つめの下あごの成長抑制の効果に関する部分だけが、3人の先生で異なります。

 一人目の先生は、フェイシャルマスクで上顎のみを前方移動しする。下あごを後退するためのチンキャップは使用しない。
 二人目の先生は、同じフェイシャルマスクでの治療ですが、上顎の前方移動とともに、下顎の成長抑制にも効果があると考えている。
 つまり、一人目と2人目の先生は使用する装置は一緒だが、下顎の成長抑制に関する部分の効果の判定に違いがあるだけです。
 三人目の先生はフェイシャルマスクとチンキャップの両方を使用して、積極的に上下のあごの位置をコントロールしようとしています。

 たくママさんにすれば、ぜんぜん違うように見えるかも知れませんが、もっと大きな目でみれば、違いはほんの少しです。

 下あごの成長抑制に関して、効果があるのかないのかは、まだ決定的な結論は出ていません。

 事の始まりは、中国の纏足(てんそく)です。この「纏足」というのは、昔の中国の貴婦人が幼少の頃から足を木型に嵌め込んで足を小さくしていたものです。当時は、この足の小さいのが美しいとされていたようです。実際には、足の骨を小さく変形させてしまう事によって、逃げられなくするのが目的だったようですが。
 このように、外力によって骨の形が変形することが解ったので、これを治療に応用できないかと考えたのがチンキャップやフェイシャルマスクです。
 これらの装置はサルを使った動物実験によって、上下のあごの位置を移動することができる事が実証されています。この動物実験の論文を書いた一人が、私の師事した教授です。

 しかし、実際に臨床応用してみると、チンキャップを使用してもあまり効果的ではないとする先生達と、いやそれは使い方が悪いからで、きちんと使っていれば効果があると言う先生達が出てきました。
 さらに、顎関節症が社会的に取り上げられ、矯正治療用のチンキャップのせいで顎関節症になったと主張する患者さんや歯科医のグループが現れました。
 ついには、下顎前突フォーラムで骨格性の下顎前突は小学生で初期治療を行っても、下あごが出てくるので、大人になってから外科手術を行えば良いという意見も飛び出してしまいました。

 さあ、たくママさん、どうしますか?

 ここからは、私の私見ですが、私の考え方は3人目の先生と同様に、骨格性の下顎前突のお子さんには、フェイシャルマスクとチンキャップの両方を使用して、積極的に上下のあごの位置をコントロールする派です。これは、私の師事した教授がその道のオーソリティだったからもあると思いますが。
 また、私がチンキャップを使って治療した患者さんの多くが顎関節症になっているかというと、まったくそのような事実はありません。そして、小さいころから、このような顎の位置を改善する装置を使用したにもかかわらず、成人になってから、やっぱり外科手術が必要であった患者さんは、現在の所4名いらっしゃいます。これは同様の初期治療を行った患者さんの約1%程度です。

 たくママさんのお嬢さんの下顎前突の程度は解りませんが、あごの成長のコントロールを積極的に行う先生を選ぶか、一応行うがそうでもないドクターを選ぶのか。
 これは、患者さん自身とお母さんが選択しなければならない所です。
 そういう意味では、実に良い選択肢を出してくれる先生の矯正相談を受けられたと思います。ここまでの、道はとても順調と思います。

 また、解らない事がああれば、書き込みお待ちしております。



Re:反対咬合の治療法について
2009年7月31日(金)20:43:17返信者:匿名
小笠原先生、ご回答ありがとうございます。
モヤモヤしていたものが自分の中でスッキリしました。
実は、ほぼ3件目の先生に決めていたのですが、「チンキャップが良くない」と言われたことがどうしても気になり、私の選択は間違っているんじゃないだろうか?
将来、娘が「顎の骨が痛い」とか言い出したりしたらどうしよう・・・と悩んでいました。
中国の纏足の話しは、1件目のチンキャップ反対の先生からお話しを伺いました。
「足を小さくすることで、調べてみたら、中の骨はひどく曲がっていたんですよ。娘さんの骨がそうなっても良いですか?」といったようなことを言われ、そこまで反対されるのなら、やはり良くないのだろう・・・と思ってしまいました。
でも、3件目の先生のお話しを聞き、そんなことは無いと言われ、私としては、下顎の成長を止めたいと思っていたので、3件目の医院で治療を始めたい。と思っていました。
でも、治療は高額ですから、医院選択に失敗したくない。誰かの意見を聞きたいと、こちらに相談させていただいた訳です。
小笠原先生のわかりやすく、明確なお答えによって、私の迷いは無くなりました。
長い治療になると思いますが、これから娘とがんばっていこうと思います。本当にありがとうございました。



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