アイさん、こんにちは。矯正治療のために抜歯した4番(第一小臼歯)の根が途中で破折してしまったようですね!さぞビックリされた事と思います。このように、歯を抜く際に根の先端が折れて歯茎の中に残ってしまうのを「歯根破折」と言います。
私の専門外なので、口腔外科の専門医の同級生に電話して確認してみました。 確かに根は破折しない方が良いですが、根の形状の先端部が鈎状に曲がっていたり、細くなっていたり、1本の根が途中で分岐していたりすると、どうしても破折を起こしやすくなります。 佐山さんは今回の抜歯を「失敗」とお考えのようですが、どんな抜歯でも根が破折しないように充分注意して行ないますが、根の破折はほとんんどの場合「不可抗力」です。 特に小臼歯(4番や5番)の場合は根の形のバリエーションが多く、根の途中が太くなっていて抜けて来ないとか、根の形が複雑になっていて破折してしまうことがあります。破折した歯を担当医が保存しているのは、今後、レントゲン上で根の破片の位置や大きさを特定するのに必要だからです。
さて、では破折してしまった場合にはどうすれば良いのでしょう。 単純に考えると、骨を削除して中に取り残された根の破片を取り出す必要があるような気がしますが、この場合には骨の削除量も多くなり、患者さんへの負担が大きくなります。 さらに、破片が残っているにしても、残っているのは元自分の組織です。 このため、まずは残された根の破片が感染して、周囲の組織に炎症が起こるかどうか観察するのが常套手段です。つまり、一旦抜歯した穴を閉じて、腫れたりするようであれば、感染しているので嫌でも破片を摘出する必要があります。しかし、大きな問題が起きないようであれば、破片の位置を確認しながら、悪さをしないかどうか観察する事になります。 矯正治療を行なって、犬歯を抜歯したスペースに移動する際にも、犬歯の根の先端と破折した根の先端の位置は少しズレているので、問題が起きない事の方が多いでしょう。 また、破折して取り残された根の破片が異物として排泄されるのは、数年から十年単位の時間を要しますが本当です。 従って、根の破折に対する担当医の今回の処置は、常套手段と言って良いでしょう。 今後もしばらくは観察して行く必要がありますが、それほど心配する事はないと考えて良いでしょう。
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