ひかるさん、こんににちは。ご質問ありがとうございます。
さて、最初は上下の歯が咬み合わない開咬で治療を開始したようですが、この症状は矯正歯科治療の中でも最も難しい治療の一つです。その理由は、開咬の原因が舌を突き出す癖や口呼吸に関連していたり、奥歯の高さが問題だったり、咬む筋肉や顎関節の問題だったりと多岐に渡っているからです。治療は原因を特定して、それを除去するように治療しないと、治療後にまた元の開咬に「あと戻り」する事になります。
このため、私の場合は歯に装置を装着する前に、舌を突き出して飲み込む癖を治す口腔周囲筋機能訓練法(MFT)を8か月ほどかけて行ったり、上の奥歯の高さをコントロールする被るタイプの装置を使用したりします。最近では、あごの骨にネジのようなインプラントを打ち込んで、この装置から歯を移動する力をかける先生も多いです。
ひかるさんの文章からは、「開咬」と「1年半の治療期間」しか解らず、お口の中の状態も想像するに難しく、使用された装置も解らないので、我々矯正歯科医が一般的に行っている治療方法をご紹介させていただきました。
また、現在使用されているマウスピースですが、治療結果を安定させて、後戻りを防ぐためのものなのか、積極的に歯を移動するためのマウスピースなのか解りませんので判断が難しいと思います。
上記の治療段階から考えると、1年半の治療期間は非常に短いと思いますので、お近くの矯正歯科がある歯学部の大学病院を受診されるのをお勧めします。その上でもう少し詳しく治療の手順などをお聞きし、精密検査を行って現在の状態を正しく判断し、今後の治療方針を考える方が良さそうです。一見、遠回りのように見えると思いますが、急がば回れの言葉通りではないでしょうか。
矯正治療の方法は一つではなく、その患者さんの不正咬合の原因によって、選択枝はいくつもあります。ここで、原点に立ち返って、もう一度考えてみるのが一番現実的な道と思います。またご質問がありましたら、お待ちしております。
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