藤さん、こんにちは。第三大臼歯(親知らず)の炎症(智歯周囲炎と言います)のご質問ありがとうございます。残念ながら、私は専門外ですので、あやふやな所もありますが、知っている限りでお答えします。 藤さんは、糖尿病によって足の末梢血管の障害が起こり、正常な組織が死んで「壊疽(えそ)」といわれる状態になる事をご存知でしょうか?簡単に言うと、生きながら足が腐っていく状態です。この場合は、末梢からどんどん体の中心部に向かって「壊疽」が進行して行き、体中に毒素がまわる事によって生命の危険があります。この場合は「壊疽」を起こした足を切断するという「苦渋の決断」をしなくてはなりません。
智歯周囲炎の場合もこれと似ています。「膿みが出る」ということは、細菌の感染によって炎症が生じて、周囲の組織が破壊された結果です。 私は実際に診た訳でも、レントゲンを拝見した訳でもありませんので、ここから先は想像ですが、「3年前の隣の歯の治療」や「咬み合わせ」と、炎症とはあまり結び着きません。さらに、これから神経の入っていた部分を開けて「根管治療」をしたからと言って、奥歯の根の全周に渡る炎症を治める事ができないことは、容易に想像できると思います。燃え盛る火事にバケツで水をかけるようなのもです。 さらに、「糖尿病による壊疽」でも触れましたが「膿み」は、筋肉や組織の間隙を伝わって、心臓まで達し「心内膜炎」を併発して、親知らずの炎症によって死亡する場合もある事は、歯学部の口腔外科の講義で最初に習うことです。
歯を抜きたい人はおりませんが、藤さんの場合はこの炎症を治めるために、やはり抜歯が必要なのではないでしょうか? たけしの「本当に怖い家庭の医学」のような話になってしまいました。 抜歯するしないは、最終的には患者さんが判断する事ですが、「ここ数日,膿も出ず腫れも治まり、噛むのも全く支障無く、痛くも無い。」と言っていると、大変な事になる場合があります。もう一度、担当医と良く相談して真剣に考えた方が長生きできますよ!
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