骨の吸収 |
2006年3月10日(金)02:24:54相談者:舞 |
矯正に興味がある23歳女性です。 しかし、成人になってから矯正を行うと、大小の差はあれ 歯槽骨が吸収されてしまうと聞き、躊躇しています。 歯の動かし方に気を使えば、歯槽骨の吸収はある程度は 防げるのでしょうか。
|
|
Re:骨の吸収 |
2006年3月10日(金)21:21:16回答者:小笠原 潤治
(ウイズ矯正歯科) 編集 |
初めまして。「成人になってから矯正を行うと、大小の差はあれ歯槽骨が吸収されてしまう」というのは、何かの聞き間違いではないでしょうか? 矯正治療によるリスクの中にそのような事柄はありませんし、文献も知りません。 「風説の流布」から仕入れたネタかもしれませんね!(笑)
歯槽骨ではなくて、歯の根の先端が、歯の移動を行った後に短くなってしまう「歯根吸収」という現象は矯正治療のリスクとして上げられています。なぜ歯根が吸収するかについては、現在のところ様々な説があり、まだ解明されておらず完全に防ぐ事ができません。しかし、この歯根吸収によってその歯がダメになることは、ほとんどありまえせん。加えて、この歯根吸収は成人の矯正治療に限った事ではありませんので、舞さんの聞いた話とは少し違うかもしれませんね! もう一つ、成人の矯正治療のリスクの一つとして歯周病(わわゆる歯槽膿ろう)があります。これは、歯の周囲の組織、歯茎や歯の根の周りの歯根膜や歯槽骨に起こる感染症の一種で、重篤になると歯槽骨が破壊されて歯を維持する事ができなくなり、歯が抜けてしまいます。日本人の歯を失う原因の多くはこの歯周病です。
この歯周病を持ってる方の矯正治療は難しいです。 ここで歯の動くメカニズムを説明しておかなければなりません。 通常50gから150gくらいの弱い持続的な力である一定の方向へ歯を引くと、引かれて圧迫された側の歯槽骨が吸収されます。また、引かれた方向の反対側の歯根膜は拡大されて、その部分には新しい歯槽骨が作られます。この、歯槽骨の吸収と添加によって歯の移動が起こるわけです。 従って、歯根膜などに炎症があり、この歯槽骨の吸収と添加が正常に行われないと歯が動かなくなります。このため、矯正治療で歯を移動する前には必ずこの歯周病のコントロールが必要です。 だらかと言って、歯周病をお持ちの患者さんが「矯正治療ができない」わけではありません。私の診療室では歯周病専門医と連携しながら、歯周病の患者さんや60歳以上の患者さんでも矯正治療を行っています。
舞さんのご質問から自分の診療室の宣伝になってしまい、ごめんなさい。 というわけで、大人の矯正治療が子供に比較して危険などという事はありませんので、ご安心ください。ぜひ、お近くの矯正専門医にご相談ください。ここでは、一般的なことしかお答えできませんが、診せていただければ、治療についてもっと具体的なお話ができます。ご質問の答えになったでしょうか??
|
|
Re:骨の吸収 |
2006年3月12日(日)23:54:33返信者:舞
|
お返事有難うございました。そうなんですね、友達が矯正治療をして、「一部歯茎が下がってしまった。歯槽骨が吸収されたみたい」というようなことを言っていたので、心配していました。矯正治療について、前向きに考えてみたいと思います。
|