チューリップさん、治療目標の関連質問ありがとうございます。 チューリップさんのおっしゃる通りです。 「歯並びの完成形って、それぞれの患者さんによって違う」 「私の歯の形や大きさや本数から限界があり、その限界内でベストを尽くす」 「矯正が終了したときに正中がずれていたり、いくらか隙間が残ることもありうる」 これは、それぞれの患者さんの持つあごの形や前後的、上下的位置、あるいは左右の対称性や大きさ、筋肉の強さや形態、あるいは癖、歯の大きさとバランス、全て、全く同じ患者さんは一人もいません。これは、皆それぞれ、顔が違うのに似ています。 矯正治療の目標は、まずはできるだけキチンと咬ませる事。そして、上下左右のバランスをとって、数十キロをいう足の裏に相当する大きな咬む力をうまく全体で負担して、あごや歯、筋肉に負担のかたよりないようにして、ご自分の歯で一生涯咬む事ができるようにする事が目標です。 患者さんの目から見れば、 「今まで合っていた正中がずれたり」 「今までになかったところに隙間が残ったりする」 ことは、あちこちヘコんでいた車をせっかくキレイに治してもらったのに、ボンネットがちゃんと閉まらなかったり、ワイパーが左右対称についていなかったのでガッカリしたような感じがするかもしれません。 これらの問題点の解決には、隙間のある部分の歯を被せて大きくして、そのスキマを閉鎖したりすれば良いのかもしれません。しかし、虫歯のない健康な歯を削ってまで隙間を埋める価値があるかどうかは、良く考える必要があります。 矯正治療の価値は、仕上がりの小さなエラーを探し出して嘆く事ではなく、初診時の状態と仕上がりの状態を比較して、歯の移動量と機能の改善にある事を担当の矯正歯科医と一緒に喜んでいただけると嬉しいです。
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