のりこさん、掲示板をごらんになっている皆様、おけましておめでとうございます。 今年もよろしくお願いします。お返事がおそくなりました。すっかり、正月ボケしているかもしれませんので、御許しを!!
さて、奥歯の移動はすでに始まっているのでしょうか? 前回の御質問が11月だったので、まだ始まっていないのでしょうね! さて、今回はインプラントについてのご質問ありがとうございます。 最近の矯正歯科ではかなりホットな話題です!!
まず、一般歯科で使用するインプラントとの違いですが、一般歯科でのインプラントは「人口歯根」とも言われ、喪失してしまった歯の根にあたる部分を人体に親和性の高い金属などで代用して、物を咬むための歯を再現しようというものです。一方、矯正用のインプラントはこれまでの歯と歯をゴムなどで繋いで移動する方法では、移動したい歯は勿論ですが、移動したくない歯も移動してしまう欠点があります。しかし、インプラントという人口物から移動したい歯だけを引くことで、目的とする歯だけを移動する事ができます。 つまり、従来であれば奥歯一本半分のスペースを閉鎖する時に、奥歯も前方へ移動できますが、前歯も後退するのを覚悟しなければなりません。しかし、インプラントを使用すると前歯を動かさずに奥歯だけを移動する事ができます。患者さんからすると、それだけ??と思うかも知れませんが、我々矯正歯科医にとっては革命的です!!
このため、人口歯根に使用するような、50kgとか70kg、時には100kgの咬む力にも耐えられるようなインプラント体は必要ありません。矯正力は50gから数100gですし、大きくみても数kgの力に耐えられば良いので、現在使用されている矯正用インプラントは直径約2mm、長さは 4.5mmから8mmくらいのもので非常に細く短いネジとお考え下さい。 また、人口歯根は一生ものですから、インプイラントと骨が接合あるいは接着する方が好ましいので、様々な素材が試されています。一方、矯正用のインプラントは矯正治療中だけしか使用しないので、治療後は速やかに撤去できて、埋入も簡単なものが必要です。従って、インプラント体と骨がくっつく必要はありません。
この事が、矯正治療用のインプラントの欠点にもなっています。 つまり、「外しやすい」ということは、「外れやすい」ということです。 統計によると、最近の人口歯根の脱落率は数パーセントですが、矯正用のインプラントは十数パーセントと言われています。 10本打って、2本とれるわけですね!!また、インプラント体が細いので、埋入する時にまれに折れてしまう事があります。 この脱落しやすいことと、破折する事があるのがリスクでしょうか。 しかし、どちらもリカバー可能ですので、使用するのに怖いようなリスクとは言えないのではないでしょう。この欠点を大きく上回るメリットがあります。 その他にも、数本のインプラントを使用する必要があるなど、細かいことがありますので、担当医にもお聞き下さい。
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