「いそぎの矯正治療」は本当に難しいですネ! 内側へ転位していた前歯の2番目(側切歯)の長さを気にされているようですが、歯の移動のスピードに歯茎の形態がついて行っていないようです!歯は比較的短時間でも移動しますが、歯茎は固いゴムのような組織です。歯茎の形が新しい歯の位置にあって変わるのに、かなり時間がかかります。この歯と歯茎の形の違いが、せっかく移動した歯が元の位置に戻ろうとする一因にもなると言われています。
「あまり時間をかけないで、急いで治療したい」という事情やお気持ちは解りますが、歯の移動するスピードは我々矯正医が変える事のできるものではありません。 これは、歯の移動するメカニズムによります。 一見、歯が移動したように見えますが、本当は歯が移動する方向の歯の根の周囲の骨(歯槽骨と言います)が融けて、その反対側の根の周囲には新しくあごの骨ができてくるから歯は移動するのです。この「骨の融けたり」「新しく作られたり」するスピードは我々に変える事ができないため、歯の移動に数年間という時間がかかるのです。
従って、急いで治療するといろいろな問題が起きてくるのは、もうお判りのことと思います。今気になっている歯茎の形や治療後の後戻りの問題は、急いで治療した事に関連していると考えて差し支えなでしょう。さらに、だからこそ治療後のメンテナンス「保定」は重要になります。
担当のドクターが、海外への転院をあまり賛成しないのは「最後まで終えてしまって全額もらいたい」のでは決してないと思いますよ!
上記のようなリスクがあるのを知りながら治療に着手したわけですから、なんとか自分で決着をつけたいと思うのは当然でしょう。多分「ゆんこ」さんも、これらのリスクは治療開始前に説明されたはずですから、同じようにこれらのリスクについては責任を負わなければなりません。簡単にいうと、治療結果にはある程度妥協が必要であるという事です。 海外にも、すばらしい先生はたくさんいらっしゃいますが、我々日本人の矯正医が外国人の治療をあまりした事がないように、日本人のあごの大きさや骨の薄さ、歯の大きさをよくご存知の先生はほんのひと握りです。ましてや、治療前の状態がよく解らないので、「保定」や「再治療」は非常に難しいものになります。さらに、海外で行われた処置の責任は「ゆんこ」さんの帰国後にその外国人の先生がとっていただけるのでしょうか? 治療前の状態がわからないと、装置を外した後の咬み合わせが浅くなるのか深くなるのか??きれいに並んだ歯並びが、またデコボコになるのか??隙間が開いてくるのか??解りません。
このような事態を避けるために、担当の先生は今、必死の思いだと思います。 「ゆんこ」さんの不安な気持ちは解りますが、今かかっている先生を信じて指示に従うのがベストの選択です。
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